女性の身体は、男性と根本的に違います。同じ人間なのに、まったく違うのは不思議なことです。男性とはまったく違う生殖器を持ち、子どもを妊娠して産む、という大切な役割があります。

命を生み出すためなのか、女性の身体は本当にデリケートで複雑です。男性が理解しがたいのは当然としても、女性自身も自分の身体のしくみを理解していない人が多いのが現状です。

自分の体のしくみをしっかりと理解することで、病気の兆候に気付いたり、予防することもできます。面倒がらずに理解を深める努力は必要ですね。

 

女性の身体に月経があるのは30年から40年の間。その期間、脳にある下垂体の指令により、卵巣からホルモンが作り出されます。

女性として生まれる人は、母親のお腹にいる胎児のころから、卵巣の中に多くの原子卵胞を持っています。原子細胞は、生まれた女の子が10歳くらいになる頃に、様々なホルモンの影響を受け成長します。

そして次第に発育細胞となり、卵胞ホルモンであるエストロゲンが分泌されることで、子宮内膜が厚くなっていくのです。

さらに子宮内膜の準備が出来ると、卵胞ホルモンの分泌がピークを迎え、脳下垂体から排卵を促進させるホルモンが大量に分泌されます。このホルモンが黄体形成ホルモンです。

黄体形成ホルモンの分泌を受けて、成熟した卵胞が酒、卵母細胞を1個放出する、これが排卵です。月経のリズムは卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2つにより作り出されています。

通常、健康な女性であれば、月経の周期は28日から30日。月経が始まった日から、約14日ほどで排卵が起こる人が多いようですね。

 

このようなホルモンの影響を受けて、女性の身体・精神状態は変化します。大きく分けて4つの時期があり、気分や体調が変化する人が多く、そんなことからも女性は気まぐれと言われたりもします。

4つの時期とは「月経中」「月経後」「排卵後の調整期」「月経前の不調期」。この時期の特徴を把握することで、自分の体調や心の変化を理解することができ、余計な心配をすることなく、過ごすことが出来ると思います。

排卵のメカニズムを知ることは、妊娠のコントロールにも役立ちます。妊娠を望む場合も望まない場合も、自分の身体を知ることは大切です。

また、婦人科系の病気を早期発見することにもつながります。

このサイトを通じて、たくさんの女性が自分の身体についての理解を深めることができたら嬉しいと思っています。

排卵の基礎知識

排卵のしくみ

1ヶ月に1度、卵巣より卵子が1個生み出されます。これを排卵といいます。脳の視床下部からゴナドトロピン放出ホルモンというホルモンが分泌され、ゴナドトロピンという卵胞刺激ホルモンと黄体化ホルモンを分泌します。このホルモンが卵巣に作用することで、エストロゲンとプロゲステロンという二つの女性ホルモンを分泌させることになります。

卵巣刺激ホルモンは卵巣の中にある発育卵胞に刺激を与え、これによって卵胞の顆粒膜細胞からエストロゲンが分泌されるのです。卵胞刺激ホルモンの刺激を受けて発育を始めた複数の卵胞の中で生み出される主席卵胞の選別が始まります。この後、ここで選ばれた主席卵胞のみが発育を続けることになります。

卵胞は2週間ほどかけて成熟し、この主席卵胞から分泌されるエストロゲンの量が多くなると、卵胞の成熟を視床下部や下垂体が感知して排卵を促進する黄体ホルモンを大量に分泌します。これによって排卵が起こるしくみとなります。排卵の過程では、成熟卵胞の卵胞壁が破裂して1個の卵子が排出されます。

そして卵胞の残りの組織が黄体となってプロゲステロンを分泌します。黄体ホルモンであるプロゲステロンはエストロゲンと協力し合って子宮内膜の増殖を行います。その後妊娠が成立しなければ、プロゲステロンは低下して子宮内膜が剥がれ落ちて体外に排出されることになり、月経が起こります。視床下部と下垂体、卵巣系がスムーズに連動することで、排卵、月経の周期が形成されることになるのです。

卵巣における卵胞の発育

女性は出生時にはすでに原始卵胞を左右の卵巣に50~100万個ほど持っています。この原始卵胞の数は成長と共に減少して、女性の身体が成熟期を迎える頃には1万個ほどになってしまいます。女性が生涯に排卵する数は500個未満です。思春期を迎える頃には、原始細胞が下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモンに反応していくつかの卵胞が成熟に向けて発育を始めます。

この中から月経周期ごとに通常1個の卵胞のみが完全に成熟して排卵に至るのです。この時、それ以外の成熟過程の卵胞は死滅して、閉鎖卵胞になります。しかしながら、排卵の詳しいメカニズムはまだ解明に至ってはいません。現時点で分かっていることは、成熟過程にある卵胞を構成している顆粒膜細胞からエストロゲンが多量に分泌されて、このエストロゲンの増加によって黄体化ホルモンサージが引き起こされることになり、その16~24時間後に排卵が起こるということだけです。

排卵後、残った顆粒膜細胞は黄体化ホルモンの作用で急激に増殖し、分化して顆粒膜黄体細胞に変化します。そして爽膜細胞と共に月経黄体を形成します。この月経黄体はエストロゲンとプロゲステロンを分泌して子宮内膜内の着床環境を整えていきます。ここで妊娠が成立しなければ、月経黄体は次第に退化していき、その機能を完全に失うことになります。

これと同時にエストロゲンとプロゲステロンの分泌量も減少していき、子宮内膜が剥脱して体外に排出され月経に至ります。一方妊娠が成立すると、黄体が維持されさらに増殖していき、妊娠黄体となります。妊娠黄体は妊娠を維持していくうえで非常に重要で、妊娠の13週頃まで機能し、その後は胎盤にその役目を譲ります。

排卵期出血

女性の身体では月経以外にも出血が見られることがたまにあります。この場合一番多く認められるのは排卵期出血です。理由として、排卵期には卵巣から分泌されるエストロゲンの一時的な減少によって子宮内膜からの出血が起こる場合と、卵子が卵胞壁を破る際に伴う出血が卵管や子宮を伝って流れ出る場合が挙げられます。

このようなことから排卵期に少量の出血が見られたとしても何ら問題はありません。通常、排卵期出血の場合少量の出血が2~3日続きやがて止まってしまいます。この時排卵痛を伴う場合もあります。排卵期出血は基礎体温を測定することで自己判断することが可能です。月経周期が比較的順調な人であれば、排卵からだいたい2週間ぐらいで次の月経が起こるので、出血が月経予定日の2週間ほど前であるなら排卵期出血と考えて問題無いと思います。

しかし、排卵が起こらなかった場合にも不正出血が認められるケースがあります。排卵期にはエストロゲンが一時的に減少します。その際、排卵が正常に起こらないとそのままエストロゲンは減少した状態が続き、それが原因となって不正出血を起こしてしまうことがあるのです。不正出血はこの他にも、子宮頸管ポリープやびらんからの出血、子宮筋腫による出血などがあります。

これらは月経周期の中間期の出血としては排卵期出血とは異なり、頻度も少なく、決まった時期に起こるものではないので、そういった不正出血がある場合は早めに医師の診断を受けるようにしましょう。

排卵誘発剤

妊娠を希望していても排卵障害のために排卵が起き難くなって妊娠が成立しないという場合があります。このような場合には排卵誘発剤を使用することがあります。排卵誘発剤とは、卵巣を刺激することで排卵を促し、複数個の卵胞を生育させるなど、卵巣機能を高める効果のある薬剤です。

一番よく用いられる療法はクロミフェン療法と呼ばれるもので、視床下部を刺激することで排卵を起こさせ、タイミング療法にも用いられます。この薬剤の服用により排卵する確率は80~90%で、さらに受精して着床する確率は50~70%ほどになります。しかし、深刻な排卵障害ではなく、軽度の排卵障害であるなら、かなり有効な治療法といえます。また、このクロミフェン療法によっても改善が見られないような場合は、ゴナドトロピン療法という治療法が行われます。

このゴナドトロピン療法とは、卵巣刺激ホルモンを使用して卵巣に直接働きかけ、排卵を促進させる効果があります。この療法は脳や視床下部に問題のある排卵障害に効果があります。この治療によって排卵する確率は90%以上ですが、受精、着床にまで至るのは20~45%ほどです。この療法による多胎の発生率は15~20%と高く、同時に流産となってしまう確率もクロミフェン療法に比べて高いという報告が出ています。

また、不妊の原因が卵巣機能の低下や無月経状態である場合は、カウフマン療法を用いる場合があります。これは、エストロゲンとプロゲステロンの二つの女性ホルモンを月経周期に基づいて投与し、正常なホルモンバランスを形成するという療法です。この療法を続けることで卵巣が刺激されて機能が向上する可能性がありますが、本来、卵巣機能の改善が目的であるものではないので、クロミフェン療法と併用されることが多いようです。

これらの排卵誘発剤には副作用が多く認められているため、使用には十分な注意が必要となります。